おしらせ

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2017/02/10

第15回 福井市医師会市民公開講座 質問集

第15回 福井市医師会市民公開講座にご来場いただき、また沢山のご質問ありがとうございました。
残念ながら時間の関係で「あなたに疑問にお答えします」のコーナーでお答えいただけなかった質問に関しまして、講師の先生にご回答いただきました。


★ 肺がんに関するご質問【福井県済生会病院 小林弘明先生】

★ 泌尿器科がんに関するご質問 【福井赤十字病院 小松和人先生】

★ 乳がんに関するご質問 【福井県済生会病院 笠原善郎先生】

★ 婦人科がんに関するご質問 【福井赤十字病院 田嶋公久先生】

★ その他のご質問【福井市医師会副会長 山本雅之先生】

★ その他のご質問【福井市医師会学術担当理事 吉川淳先生】

★ その他のご質問【福井市医師会学術担当理事 三井毅先生】


福井県済生会病院 小林弘明先生への質問(肺がんに関するご質問)


Q.質問内容 A.小林弘明先生のお答え
質問1 職場で喫煙する人がいます。”喫煙ルーム”でしか吸いませんが、すぐ戻ってきます。それでも影響は受けますか? 喫煙者が吸い込んだ煙はその後にはき出されますが、これが「呼出煙」です。この「呼出煙」の中には喫煙後30-40分間程度は、いろいろな有害物質が含まれることが分かっています。したがって、たとえ喫煙ルームへ行って吸っても、すぐに戻ってくるのであれば受動喫煙被害を防ぐことはできません。
質問2 オペした後、毎年検診をする必要があるのか。 肺癌はたとえ比較的早期に近いI期であっても、手術後に2割程度は再発します。このため、手術後5年間、最低でも3年間は手術を受けた施設で定期的に検査を受ける必要があります。一方、集団検診などでは異常がないことが前提であるため、手術後の通常の変化も異常(精密検査が必要)と判定される場合があります。逆に再発を見逃される場合もあります。したがって、肺癌で何らかの治療を受けた人、あるいは治療中の人は集団検診は受けないでください。
質問3 禁煙外来の詳しい内容を教えて下さい。 一定の条件(アンケート調査でニコチン依存症であること、1日の喫煙本数×年数が200以上、など)を満たせば、基準を満たした施設で保険を使って禁煙治療を受けることが可能です。現在、保険での禁煙治療が可能な施設は福井県内に112施設あります。3ヶ月間に5回の通院でニコチンパッチ(貼り薬)なら3割負担で13000円程度、チャンピックス(飲み薬)なら19000円程度かかります。自分でがんばるのは辛いので、ぜひ禁煙外来を利用して上手な禁煙に挑戦してください。

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福井赤十字病院 小松和人先生への質問(泌尿器科がんに関するご質問)


Q.質問内容 A.小松和人先生のお答え
質問7 泌尿器科の前立腺生検を1週間前に受けました。(PSA5.5)その結果、今でも精液に黒ずんだ血液が混じっています。(血液まじりの精液です)心配です。 生検によって前立腺内に出血がおこります。精液が黒ずんでいるのはそのためです。時間の経過とともに軽減しますので、ご心配無用です。

アボルブが泌尿器予防になるか。アボルブが泌尿以外のがんの発症要因にならないか。 アボルブの内服によってPSA値が下がりますので、前立腺癌の見落としには注意が必要です。悪性度の高い前立腺癌の発生、乳がんの発生等の報告がありますが、アボルブとの因果関係は不明で、がんの発症要因となっているかどうかははっきりしません。

尿が潜血したり、たんぱくがでたり、正常になったりの繰り返しですが、大丈夫ですか? 潜血、蛋白尿については、精密検査と経過観察をお勧めします。大丈夫と言い切ることはできません。

腎臓がんについて、どこに1番転移するか。 肺が高頻度の転移部位です。

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福井県済生会病院 笠原善郎先生への質問(乳がんに関するご質問)


Q.質問内容 A.笠原善郎先生のお答え
質問9 右胸の痛みが8月ごろからあり、時々分泌液が出ることがある。 乳房の痛みはがんとの関係性は乏しいとされています。
但し分泌に関しては、乳癌の初期症状の場合もあります。
危ないのは①片側性(右か左かのどちらかのみ)、②血の成分が混じっている(赤色、茶色、黒色、アップルジュースのような色)③単孔性(一つの穴から出てくる)の場合です。
まず、白色か透明で、授乳中のようにたくさんの穴から出てくる場合は心配ないことが多いですが、判断の難しい場合は、乳腺科を受診してください。
質問10 男性でも乳がんになるのですか? 男性の乳がんも稀ですがあります。頻度は低く、女性乳がん100例に対して1例程度です。比較的高齢(60歳以上)のことが多く、片側のしこりが代表的な症状です
質問11 一般的に、乳がん検診は40代から(無料クーポン)ということを耳にしますが、30代でも定期的に検診を受けたほうがいいのでしょうか。 30歳代に対して効果的な検診方法はまだ定まっていません。
まずは自分の乳房を定期的(月1回程度)に触ってみて、その状態を知ることです。小さなしこりを探すのではなく、「いつもと変わりがないか」をチエックしていください。何か変化(しこりの出現や乳房の硬化など)があれば、乳腺科の受診が必要です。
血族に乳がんの方が数人いらっしゃる場合などは乳がんリスクがやや高いので、任意型検診(人間ドック等)で超音波検査などを受けるのも一つの方法ですが、検査にも利益と不利益があるので、事前に十分ご相談下さい。

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福井赤十字病院 田嶋公久先生への質問(婦人科がんに関するご質問)


Q.質問内容 A.田嶋公久先生のお答え
質問14 今は閉経し、過去に子宮内膜症がありました。今後、気をつけることは? 子宮内膜症を有する女性では、卵巣癌の発生するリスクが高いことが知られています。特に、卵巣チョコレート嚢胞を有する女性では注意が必要です。閉経後も卵巣チョコレート嚢胞が残っている方は、産婦人科で定期検診を受けるようにしてください。
質問15 ヒトパピローマウイルスは性体験のない女性は持っていないとのことですが、性体験によって男性から感染するということですか? 子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)は、性行為によって感染します。HPVは一般的なウイルスで、性経験のある女性であれば50%以上が生涯で一度は感染するとされています。
質問16 男性が子宮頸がんの要因となるウイルスを持っているかの検査はできないのですか? HPVは男性の陰茎、陰嚢、尿道口、肛門周囲などに感染し、肛門がん、陰茎がんの原因となるとされます。存在する可能性のある場所が広範囲にわたっており、またHPV検査による発ガン予防効果も証明されていないため、男性のヒトパピローマ検査は一般的には行われていません。

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福井市医師会副会長 山本雅之先生への質問(その他のご質問)


Q.質問内容 A.山本雅之先生のお答え
質問19 今後、在宅医療が進むと思うのですが、担当医師は少なくなかなか増えないと聞いておりますが、その点はどうでしょうか? 高齢化社会の進行とともに、住み慣れた地域や在宅での医療が今まで以上に必要とされその需要はどんどん高まっています。それを受け、我々医療側の在宅医療への意識も高まっています。もし、お住まいの地域で、病院以外にかかりつけ医がいないのであれば、気軽に医療の事を相談できる医療機関を特定健診・長寿健診・予防接種などを利用して持つことが一番大切かと思います。また、福井市医師会では、在宅医療に対応している在宅医療対応可能医療機関マップを作製して各包括支援センター・病院・訪問看護ステーションに配布しています。在宅医療に関して不安な事があれば、お住まいの地域の包括支援センターに相談してもらうのも一つの方法かと思います。 来年度からは、福井市医師会のホームページにも在宅医療対応医療機関を掲載予定ですので、それを参考にしていただいても良いかと思います。
質問20 がん検診は生涯受けたほうがいいでしょうか。腫瘍マーカーが少し高いのは毎年の変化を見るべきでしょうか? 検診というのは特定の病気を早期発見するためのものであり、現在の健康状態を確認するための健診とは意味合いが違います。見つけるためのがん検診は一年が有効性の限度といわれていますので、毎年受けることをお薦めします。腫瘍マーカーが高い場合は一般的ながん検診ではなくて、精密検査が必要な場合があるので、自己判断ではなくて、かかりつけ医の先生に相談してもらうのが一番かと思います。平均寿命を超えた際に、がん検診・健診を続けるかは自分の判断ですが、上記の理由で続けることをお薦めします。
質問21 かかりつけ病院に最初に行くことになっていますが、そこで治療をしていてがんが発見してもらえなくてほかの病院へ行ったら4期でした。かかりつけに行ってがんの発見が遅れて手遅れになったとよく耳にしますが、それがとても心配です。 血圧や高脂血症などの慢性疾患で罹っていると、特に自覚症状がない場合は、つい慣れ合いになってしまって、検査が御座なりになり、残念な事ではありますが、進行性のがんでも発見が遅れてしまったということがあるかと思います。健康状態の確認をリセットするといった意味合いにおいても、毎年、特定健診・長寿健診・がん検診をかかりつけの医療機関で受けて経年性の変化を確認してもらうのが漏れを減らす方法だと思います。

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福井市医師会学術担当理事 吉川淳先生への質問(その他のご質問)


Q.質問内容 A.吉川淳先生のお答え
質問19 がんにはズバリ、検診・運動・食生活だと思いました。食生活について、食べると良い食品はありますか? インターネットを検索されるありとあらゆる健康によい食品、運動、サプリメントなどがヒットします。これらを全て気にするよりも、規則正しい食事と運動を心がけ、ストレスをためない生活を心がけるのが一番と思います。何もよりもはっきりと高い発がん性がわかっている禁煙が最も大事なのは言うまでもありません。
質問20 子宮頸がん予防注射のように、男性にもそのような注射はないのか。 子宮頸部がんは、その50−70%がヒトパピローマウイルス(HPV)による持続感染が原因で引き起こされるとされています。そこで他のウイルス感染症と同じようにワクチンによりこの感染を予防し癌の発生を抑制する目的で、子宮頸癌ワクチンの女性への接種が我が国でも導入されました。
このHPVは、子宮頸がんの他にも、咽頭がん、喉頭がん、外陰部がん、膣がん、陰茎がん、肛門がんなどの原因の一つとしても知られています。理論的にはHPVウイルス感染を防ぐことができれば、子宮頸癌だけでなく他部位の発癌を予防することが可能となると考えられます。そのため男性を含めたワクチン接種は以前から多くに国で検討、議論がされてきました。しかし社会的な費用とその効果に対する問題や考え方の相違があり、全員接種は一般的とはなっていないのが実情です。
しかしすでにアメリカがん協会では、10年前から11-12歳の間に男女にかかわりない接種を推奨しており、さらに最近ではもっと広い年齢層までの接種も推奨を初めています。男性を含めた広範囲なワクチン接種は、他の諸外国でも検討が進んでおり、近い将来接種が開始されるようになるかもしれません。実際にオーストラリアではすでに実施が始まっているとされています。

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福井市医師会学術担当理事 三井毅先生への質問(その他のご質問)


Q.質問内容 A.三井毅先生のお答え
質問19 すい臓がんの見つけ方を教えて下さい。 できれば腹痛など自覚症状のみられない時期に健診の腹部超音波検査や血液検査をきっかけに精密検査を受けられることが早期発見につながります。また、すい臓がん発症の危険因子も考えられていますので、高危険群にあたる方は早めに消化器内科医へ受診されることもよい方法です。精密検査は、腹部CT検査、胆膵MRI検査、腹部超音波内視鏡検査、PET-CT検査などがあります。
質問20 免疫性を高めることでがんが消失するとか新聞雑誌等で最近良く見ますが医学的に正しいことですか? 免疫が高まることで癌が死滅するという実証はありますが、ほとんどは細胞レベルもしくはごく微小ながんの状態で見られていることで、ある程度の大きさになったがんでは非常に困難です。また、さらに困難なことは「免疫を高める」方法が未だ医学的に確立されていないことす。
質問21 免疫療法とは何か。 本人の体に備わっている免疫力を高めることによりがんの進行を 抑える、あるいは縮小させる治療法です。現在世界中で研究されており、このうちいくつかは理論的には有効性が示唆されているものもありますが、未だ明らかな実績として評価されているものは見られません。しかしこの治療法が確立されれば副作用もなく、がんに対する画期的な治療法として認められる日が来ると思われます。
質問22 自己免疫療法で治療できるのはどのようながんでしょうか。また、どこの病院でもお願いできるものでしょうか。 自己免疫療法という治療法はありません。

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